砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

やがて射す光の方へ(『光』観たマン)

『光』を観た。

 


河瀬直美監督×永瀬正敏主演!映画『光』予告編

 

世界各国で製作されている映画を見るために、我々は様々な補助を使わなければいけなかったりする。例えば日本語以外の映画であれば、多くの観衆はその言語の意味がわからない。物語の理解するために、字幕がついたり、もしくは吹き替えで、日本語ユーザーのための映画が上映される。日本語も他国語も聞くことが出来ない人(=ろう者)は? 字幕があれば物語が読み取れる。では、視力を失っている人が映画を楽しむためにはどうするのか。ここで登場するのが日本語音声ガイドというものであり、この『光』の幹となるテーマである。

 

恥ずかしながら、私は『光』で、日本語音声ガイドなるものを知った。ちなみに、2016年で、日本語音声解説で劇場公開映画した映画は1149本中、9本である。映画鑑賞という点から見れば、まだまだバリアフリー化は進んでいない。

(参考:特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター

  

さて、この「光」は、河瀬直美監督の最新作。この予告編でシビレたわけで、観に行ったのです。日本語音声ガイドと、視力を徐々に失ってゆくカメラマンとの静かな、でも感情を揺さぶられるラブストーリー。

 

作中、音の演出が印象に残る。冒頭に、街の人々のようすを言葉に落とし込み、滑らかに表現する水崎綾女の通る声が魅力的だ。普通に歩いていれば気にしない雑踏も、この映画では、情報として意識してしまう。

 

視力を失うカメラマンを演じる永瀬正敏の枯れっぷりも格好良い。ロービジョン器具をつかい、一所懸命にものを見ようとしたり、カメラを必死に覗き込む様子にどこかエロスを感じてしまうのはなぜだろうか。と、同時に視力を失ってゆく描写が恐怖だ。カメラマンにとって、ふわりと、自分に射していた光が消えていくのはまさしく死の現在進行形であり、それをリアルに表現している。

 

 

 

『つめたいやつら』と『衣服』(短歌の目 第20回)

短歌の目 6月に参加させていただきます。よろしくお願いします。売れたいです。

 

今回の題詠ですが、『つめたいやつら』というタイトルでくくってみました。ジメジメする梅雨に嫌気が差しているなら、つめたさを求めるのも悪くないと思います。

 

tankanome.hateblo.jp

 

 

題詠5首

1. クリーム

笑わない王女の部屋へ行くためのソフトクリーム螺旋階段

 

2. 溝

目が覚めて側溝に嵌まっちまってたらその日からもう思考はしない 


3. 万緑

万緑の項を開けば草田男で おまえの名前も緑色かよ

 

4. 雨

雨雲の間をかきわけじゃじゃじゃーんみたいなやつは下水になれよ

 

5. きみ 

インドでのカレーの定義語るきみ無視して満たすサービスエリア

 

 

テーマ詠「衣服」

 

このシャツの袖の長さがわからない 数字にできるかそもそも袖か

 

 

以上です。つめたさを感じてくれたら幸いです。ありがとうございました。

 

 

岩井堂聖子さんについて書かせてください

岩井堂聖子さんという女優さんをご存知だろうか。私が思うに、今の日本で最も美しい女優である。現在、『デリバリーお姉さんNEO』というドラマに主演している。私が、今クールで唯一リアルタイムで追いかけているドラマだ。動く岩井堂聖子さんを待つ火曜の23時がマイゴールデンタイムであり、半ばそのために1週間の中心を持ってきている。ギャオで見逃し配信をやっているので観てない方は是非。

 

gyao.yahoo.co.jp

 

そもそも岩井堂聖子さんとの出会いは、高校生のときに観た『シムソンズ』という映画だった。当時の彼女はまだ“高橋真唯”という名義で活動していた。この『シムソンズ』が傑作なので、未見の方は、平昌五輪前に必ず観てほしい。

 

www.youtube.com

カーリングに青春を捧げる4人の女の子が主役の映画なのだが、そのメンツが、加藤ローサ藤井美菜星井七瀬、そして高橋真唯なのである。振り返ればとてつもない4人組だ!脇を固める俳優陣も大泉洋(この当時は素晴らしいもじゃもじゃである)、田中圭高田延彦バラエティ豊かなラインナップ。主題歌もジュディマリの「BLUE TEARS」で私達のピュアネスにとどめを刺してくる。ちなみに高田延彦が起用されているのは、『シムソンズ』が当時のPRIDEの運営会社の映像部門が配給していたからである。喫茶店のマスター役で、その店の名物が“流氷ソーダ”。未だに、流氷ソーダを飲みたいと思っている私。常呂町に行きたい。

 

当時の私は、この女子4人の中では加藤ローサ推しであった。(一番知名度あったし、ミーハーな野郎である)友だちに『シムソンズ』を熱弁する際に、あわせて「冬の加藤ローサは最強である」と唱えたものだ。まだこの当時は、衝動的に冬の加藤ローサ最強説を言いふらしていたが、私の中で、冬の加藤ローサ最強説を強固にしたものが『スマイル 聖夜の奇跡』というアイスホッケーの映画である。これも平昌前にマストチェック。森山未來のタップダンスも見れるよ。

 

シムソンズ』の良さは語っているが、何故かこの映画を観たことがある人が周りに少なく共感されない。勝手に孤独を感じ、不満を持っていたのだが、あるとき、『シムソンズ』について大いに語ってくれる著名人を見つけた。あの天才トラックメイカーtofubeatsである。彼はPOPEYEの「好きな映画特集」で、『シムソンズ』を挙げていたのだ!

 

シムソンズ』はデビュー間もない女優さんたちのキラキラとした輝きが秀逸。特に藤井美菜さんにご注目を(完全なる主観です)。見た目の可愛さはもちろん、本当に真面目そうな雰囲気(ブログ愛読者です)がひしひしと伝わってくるのです。

(POPEYE 2015年6月号)

 

この溢れ出る藤井美菜への愛!彼女のブログの好きな写真ベスト5を発表するガチ恋さ!(私を完全に上回っている)。高校生のときに同じクラスだったら絶対仲良しになれる自信があった。神戸と横浜のシティボーイ2人が一直線につながった瞬間である(それは一方通行であるが)。

  

さて、いつの間にか『シムソンズ』および『冬の加藤ローサ』の話に飛んでしまっていたが、tofubeats氏の影響で、久しぶりに『シムソンズ』という文字を観て、調べていたら岩井堂聖子さんへの改名を知り、彼女への気持ちが燃え上がったのです。彼女のインスタを見つけて、気持ちは最高潮になったものの、昨年末で終了。地味に落ち込んでいたところでの、『デリバリーお姉さん』の話は吉報中の吉報であったのだ。

 

『デリバリーお姉さん』というミスリードなタイトルもいい。実際、それは便利屋の店名であって、一話完結形式で、依頼に応えるバディものであるが、その依頼に“応える”というより、“叶える”なのが、素晴らしい。「部屋の中から自分の最高傑作のラブレターを探してほしい」「あの夏を再現して告白してフラレたい」「隣の部屋から聞こえてくるあの人の歌を探してほしい」などなど。

 

岩井堂聖子さん演じるエリーは、バディのマコの姉貴的存在で、やんちゃしてました感溢れる役だ。おでこを丸出しで、つなぎを着て、両手は必ずポケットに。やさぐれつつも人間臭さを出すキャラクターが最高なのである。誰しもが抱える青春的後悔を昇天させるデリバリーお姉さんの活躍っぷりと潜在的な母性に打ちのめされて、ここ最近の水曜日の私の心はとても美しいのだ。