砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて息苦しい東京壊しちゃえばいい(『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』観たマン)

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』を観た。


『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』予告編

 

原作を映画化した作品は数多い。小説やエッセイなどが主なものだが、この作品は詩が元になって作られているところが面白い。私は大変申し訳無いが、原作を読んでいない。おそらく原作の言葉を用いたセリフもあった。詩の生み出す余白を、どう映像で表現するのが、どうドラマにするのか大変興味を持ったのでこっそりと観た。

 

主人公は石橋静河池松壮亮。登場人物のほとんどが窮屈な都会で窮屈な生活をしている者たちだ。パンケーキマストバイなんて単語は登場せず、生き延びるために彼らは働き、わずかな余暇を楽しむ。そんな描写に共感しつつも、どこか見下している自分がいる。

 

池松壮亮が、日雇い労働者を演じているのだがこれがたまらなくいい!この日雇い労働者の群れを演じる池松壮亮松田龍平田中哲司の3人は、日雇い労働者の配役として最高クラスなのではないでしょうか。ブルーカラー三羽烏

 

東京で生活するものとして、 息苦しさは毎日感じるものだ。息苦しくなって、視界がだんだんと狭くなる。都会が生み出す悪循環。劇中にも出てくる格安居酒屋のシーンも喧騒喧騒喧騒で、観てて頭が痛くなりそうだった。ただ、そのなかで心がストンと落ちる瞬間にニヤッとした。みんな息苦しいんだよ。心を大きくして共感していこう。

 

そんな、東京の若者の群青色の日々を描いたこの作品のラストに流れるのがThe Mirrazの「NEW WORLD」なのがずるい。あの疾走感あふれるロックナンバーを、自分が映画監督だったらエンドロールに流したいと思っていたのに。。。こうなったら、本多猪四郎が生き返るような怪獣映画作って、Mirrazの曲使ってやんよ!エンディングは「CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい」で、館内中がわちゃわちゃと騒ぎ出す。そんな映画鑑賞スタイルもありでしょ。

 

1995と2017(『22年目の告白 -私が殺人犯です-』観たマン)

『22年目の告白 -私が殺人犯です-』を観た。

www.youtube.com

 

私の好きな監督のひとりである入江悠監督の最新作。『サイタマノラッパー』3部作、そして去年のマイベスト1ムービー『太陽』を作った監督の新作となれば、居ても立ってもいられない。早速観てきた。本当に『太陽』は観てほしいんだよ。

 

takano.hateblo.jp

 

舞台は2017年。22年前に起き、既に時効となった猟奇殺人事件の“殺人犯”を名乗る男が、突如告白本を出版する。大々的な出版発表記者会見、過剰なメディア露出を繰り返すこの男は、なぜこのようなことをするのか。遺族や、犯人を捕まえられなかった刑事、この騒動に飲み込まれる日本国民をも巻き込んだサスペンス・ミステリー作品だ。

 

この物語の背景にある1995年はとてつもない年だった。(といっても私もほとんど記憶がないのだが)第二次世界大戦から50年、阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件などのオウム真理教による騒動、殺人事件の公訴時効の廃止など。念のため、Wikipediaをチェックしながらも、羅列される出来事のインパクトに圧倒される。時代の転換点による影響が、世代を超えた2017年で顕在化する。

 

もうひとつの要素として、「法とメディア」の関係性を考えてしまう。時効とはいえ殺人をした人は表現して良いのか、表に立って良いのか。殺人犯の手記というインパクトをモブという立場で浴びてしまう国民たちがいる。出版業界の苦しい事情もあるだろう。「サムの息子法」という言葉もちらっと思いつく。インターネットが発達し、誰もが手軽にメディアとなり、発信できる時代だからこそ作ることができた作品だろう。

 

入江悠監督の特徴である長回しシーンは登場しない。主題歌も感覚ピエロだし、ターゲットは若年層だろう。この1995年を知らない世代を主な対象に、普段見に行かない層のためにも、わかりやすく作られている。が、クライマックスのシーンは入江監督らしい感情の昂りの同時爆発が堪能できる。この狂騒曲が奏でる終着点の演出に、ドキドキが止まらなかった。

 

 

博多・長崎たびの記録11

長崎3日目、今日も朝からバイキングでスムージーを飲む。長崎セレブリティーとはおいらのことだ。長旅でだんだん疲れが抜けきれなくなっている。スムージー効果に期待しよう。本日のお目当てはグラバー園大浦天主堂

 

グラバー園に入ったのが10時ぐらいだったのだが、GWの世界遺産をなめていました。圧倒的人間量!

 

 

f:id:nigaichocolate:20170608233625j:plain

グラバー園から見渡す青と緑。それよりも気になる高齢層。都会の密集を避けて旅に出たというのに、おじいちゃんおばあちゃんの集団に戸惑う。グラバー園をふらふらしているとこんな看板があった。

 

f:id:nigaichocolate:20170608233637j:plain

どうやらグラバー園には日本最初のテニスコートができた場所なのだそうだ。ふと昨日、オランダ坂を散歩した時を思い出す。近くの高校から聞こえてくるテニスのラリー音。あのラリーの音は、歴史の重みが詰まっていたんだと勝手に悦に入る。そういえばオランダ坂近くの高校に美輪明宏が通っていたらしい。教えてくれたのはもちろん、龍馬の銅像の前で絡んできたおじさん。私の中で長崎の記憶が程よく混じり合っていく。たった1枚の看板を触媒にして。

 

大浦天主堂も行ったけれども、やはり平均年齢が高くて、早めに脱出。昨日の夜にライトアップされているほうが私は好きだった。

 

思った以上に時間を使わなかったので、またもやオランダ坂あたりをぶらぶらしていた。

f:id:nigaichocolate:20170604160538j:plain

細い階段道、坂道を見上げると電線がごちゃごちゃごちゃっと連なっているのがレトロで素敵だ。電気になってこの坂の住宅街を縦横無尽に駆け巡ったらどんなに楽しいことだろう。ああどこかの民家の奥から矢で打たれて、レッド・ホット・チリ・ペッパー的なスタンドを身につけられたならば。

 

思案橋の近くに、気になるラーメン屋さんがあったのでそこでごはんを食べることにした。

https://www.instagram.com/p/BTqIKH_Df0b/

レモンラーメンたべてる #ramen #lemon

見よ、このレモン入りラーメン!どうやら長崎はレモンステーキが有名らしい。ステーキの上のレモンが乗ってることは、おかしくないと思ってたし、まさかこんなところにご当地が隠されていたなんて。それに着想を受けたのかどうかわからないが、このレモンラーメンだがとても美味しかった!

 

豚骨スープのこってりさとレモンの酸味のマリアージュ。こってりくってるくせに、さっぱり食う矛盾が大好き(唐揚げにポン酢とか)な私にとっては絶妙な美味しさだった。