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ゴズリング in LAの別世界線 (『ナイスガイズ!』観たマン)

『ナイスガイズ!』を観た。

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『ラ・ラ・ランド』旋風が、日本にやってきているが、ライアン・ゴズリングの作品がもうひとつ、日本で公開中なのはご存知だろうか。ラッセル・クロウとのW主演作品、『ナイスガイズ!』である。奇しくも、舞台はロサンゼルス。しかもオープンカーに乗っている場面まである。2017年のオザケンに浸されまくってる私は、「並行する世界!」と叫ばずにいられなかった。

 

『ラ・ラ・ランド』は現代劇であるのに対し、この『ナイスガイズ!』は1977年という時代設定。示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)と、私立探偵のマーチ(ライアン・ゴズリング)のバディ・ムービーである。ある女性の捜索というミッションが、実は重大な事件の一片であり、その事件に巻き込まれていくという展開。約2時間、テンポのいい展開と、止まらないギャグ、しっかりとした伏線の回収っぷりに、我々は休むことさえ出来ない。

 

なんてったって“剛”のヒーリーと“柔”のマーチとのバランスがちょうどいい。「恰幅」を辞書で引いたら、こんな挿絵乗ってるだろうなぐらいのラッセル・クロウが、しっかり“剛”を担当しているために、ゴズゴズのひ弱さが、面白く映る。私立探偵マーチのひとり娘も、物語を十二分に引っ掻き回して、ゴズゴズがさらに輝く。やっぱりバディ・ムービーって最高だ。

 

ただのコメディアクションではないところもいい。1977年のロサンゼルスでの社会的背景が関係している。そういう当時の文献を読みたくなる映画は素敵だ。この『ナイスガイズ!』では、ポルノ産業と自動車の排ガス規制が、事件と大きく関係している。途方もない巨大な黒い渦と、立ち向かうクセのあるヒーロー達の構図に引き込まれる。

 

そういえば、劇中で、「未来は日本製の電気自動車の時代だよ」というセリフが出てきて、ハッとした。『ラ・ラ・ランド』でミアがプリウス乗ってたじゃん。こういう小さい時代描写から、当時と現代のロサンゼルス及び米国における自動車産業の栄枯盛衰を掘ってみたくなる。一方、並行世界でもアイツは、結局オープンカー。んーゴズゴズ、今年は見逃せない。

 

takano.hateblo.jp

 

 

 

 

 

ひさびさに1巻をむさぼって

最近、心に余裕がない気がする。原因を考えてみたら、そういえば、マンガを読むことをおざなりにしていた。心地よい質の没頭感を補う必要があった。そんなわけで、ひさびさに1巻をむさぼりました。

 

コミックコーナーを見ると、マンガの細分化がとんでもないことになっていると思う。とりわけグルメ漫画なんか、「だがしかし」などを筆頭に、その食品群ごとにマンガ出来ていてもおかしくない。例えば、スーパーに置いてある食品の代わりに、それに関連するマンガを置いたらどのくらい占めることができるのだろうか。

 

読んだのは、さらにニッチな道を行く『本日のバーガー』だ。ええ、その通りです。ハンバーガーのマンガです。

本日のバーガー 1巻 (芳文社コミックス)
 

脱サラした元商社マンが主人公。ハンバーガーショップの店主となって、お客さんが抱えている人間問題をハンバーガーを使って解決するというシンプルなストーリー。美味しんぼ的展開をひたすら、ハンバーガーのみで戦うという究極のこだわりハチマキスタイル。特に1話の不振にあえぐ助っ人野球選手のくだりを読んで、美味しんぼの野球選手が登場した話を思い出したやつは挙手してほしい。ハンバーガーと同時に、ホイルにんにくが食べたくなった。

 

とはいえ、ハンバーガーの知識量がえげつないこのマンガ。日本も今やハンバーガー大国と言っても過言ではないですが、それでも氷山の一角であることに気付かされる。「所変われば品変わる」という言葉がぴったりで、その国の文化に合わせてハンバーガーが柔軟に形を変えていくのに驚嘆する。知識を満たしたら、次に満たしたくなるのは胃袋で、助っ人野球選手が食べていた“アンブルゲサ”というものがますます気になる。どこで食えるのであろうか。

 

ハンバーガーの知識がえげつない主人公なので、どこかの世界線で、山岡士郎が偶然訪れないかなあ、という妄想を膨らませている。そしてテリーマンは、街角のどこかでハンバーガーを立ち食いしている。 

 

 

 

もうひとつ、『ブラックナイトパレード』。これも『本日のバーガー』のような歴史をベースにしたマンガ。作者は『聖☆おにいさん』でおなじみの中村光

ブラックナイトパレード 1 (ヤングジャンプコミックス)
 

 

私が子供の頃に、「小学1年生」かなにかで読んだ、世界のサンタクロースをまとめた記事があって、衝撃をうけたのを覚えている。サンタクロース=めちゃくちゃ優しい赤いおじさん、と思っていた私の読むページの右下には「ドイツにいる黒いサンタ」の話。悪い子供には木の枝をプレゼントをするという説明に、なんだか怖くなり、良い子でいようと決意した瞬間であった。

 

その記憶が蘇るきっかけとなったのが、この『ブラックナイトパレード』であった。主人公は、コンビニの店員。ひょんなことから、“サンタクロース業務”を行う会社の社員になるという展開だが、赤ではなく”黒”のサンタの業務専門であるところが面白い。

 

また、労働の“ブラック”とかけているところも緻密である。手取り30万で寮付きだけども・・・という展開になんだか「うんうん」と唸ってしまう。このようなブラック企業的なギャグに笑ってしまう自分には、もう二度とサンタクロースがやってこないんだなとちょっとセンチメンタルにもなった。ある意味、子供に読ませたくないマンガだ。

 

春夏秋冬ヒュゲりたい

「ヒュッゲ(hygge)」という言葉をご存知だろうか。私も最近知った言葉なのだが、デンマーク語で、「居心地のいい、快適な状態や雰囲気」という意味を持っているらしく、2016年、オックスフォード英語辞書が選ぶ「今年の言葉」の大賞候補にノミネートされた言葉だ。(ちなみに大賞は、大ブレイク中の言葉である「post-truth」だ)

 

もう、このヒュッゲという言葉を知ってしまったからには、試したくなる衝動が抑えられない。ヒュッゲを巧みにあやつり、私のQOV(クオリティ・オブ・ボキャブラリー)をますます高めるのだ。

 

少し前に「chill out」や「チルってる」が若い世代の間で徐々に市民権を得だしたが、なんだか私は上手く使いこなせない感覚があった。無理に「チルってる」を使ってる感じも否めなかった。そこで、ヒュッゲの登場だ。意味的には「chill out」と非常に近い場所にいる言葉であろう。私は、チルたちに別れを告げ、ヒュッゲを操る人間として生まれ変わるのだ。

 

この先の予定にヒュッゲを当てはめてみよう。春になれば花見がある。満開の桜の下でワイワイ仲間たちと、お酒を飲む。いいヒュッゲだ!夏になれば、BBQのシーズンだ。濃い味付けのスペアリブをビールで流し込む。ナイスヒュッゲ!野球観戦しながら球場のフードを食べてヒュゲるのも一考。秋は、ハロウィンパーティーか。誰かがDJセットを持ってきて、ヒュゲったBGMの中で思いっきりヒュゲる。デンマーク語だから冬が1番ヒュッゲに適しているのかもしれない。暖炉を囲んだホームパーティーで、ロッキングチェアに揺られながらうとうとする。ヒュッゲの極みだ。

 

怒濤のヒュッゲラッシュ。たった一年で、こんな素敵なヒュッゲライフを送ることができるのだ!当たり前だが上記の年間プランは予定である。予定であり、未定である。DJセットを持ってる友達を作るところからはじめないと。スペアリブのレシピも調べなきゃな。ああ、一日でも多くヒュッゲしたい。