砂ビルジャックレコード

カルチャーの住民になりたい

壊れる準備はできている(『壊れた心』観たマン)

『壊れた心』を観た。

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色気が足りない。これは私がこの星に生まれついてから今日に至るまでの課題のひとつである。全くないがゆえに、他人の醸し出す色気に敏感になってしまったのだが、今、日本で1番の色気を出す人間ってこの男なんじゃないだろうか。浅野忠信。色気だけでなく殺気、狂気も合わせこんだハイブリッドなオーラに画面越しなのに続々してしまう。『淵に立つ』のあからさまな狂気を放つ場面も記憶に新しい。

 

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ある作品をみたとき予告編で、浅野忠信がまたとんでもねえ色気を出していた。それが今回の『壊れた心』である。2014年の東京国際映画祭コンペティション部門にて上映された本作、クラウドファンディングの支援を受け、およそ3年の時を経て劇場公開に至ったという背景のある作品。マニラのスラム街を舞台に殺し屋と、ある娼婦の片道切符の逃避行を描いている。浅野忠信のアジアの殺し屋役のハマりっぷりったらもう。

 

この『壊れた心』だが、最大の特徴は、台詞がほとんど無いということ(言葉が出たとしても、歌詞や感動詞として程度)。映像と音楽だけで、私たちは、醜いくせに美しい『壊れた心』の世界に、圧倒的に押し付けられる。あっという間の70分の素敵な悪夢。

 

映像は、水中から浮世を見ているような感覚を受けた。きっと、溺れてしまって、もうすぐ息が続かなくなる、もうすぐ意識がなくなる。そんなときに脳内に浮かぶ光景ってこういうのかなあと暗闇の中で考えていた。神話のようでもあるし、本当に不思議な映像体験だった。

 

音楽についてだが、この主題曲がとても素敵”!エンドロールのときにも、この"RUINED HEART"が流れるのだが、退廃的なのに明るくて、病みつきになってしまった。未だに頭から離れない。きっと人生で一番"Ruined"という単語に向き合っている時間だと思う。いつでも“Ruined”しても問題ないさ。

 

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なんかいろいろ(年末年始とか)

今年に入って少なくとも3回は、カレンダーの「2017」という数列を見てハッとしている。なんだか時の果てに来た感じ。もうすぐしっかりとしたおじさんになるお年頃。

 

年末年始は毎年恒例のようにCDJへ。もう何年連続で行っているのだろう。幕張メッセを別荘のように歩き回って楽しむ。

 

 

プロのカウントダウンジャパニストとして言わせていただくならば、朝が重要なのです。いかに京葉線でイライラしないか、そこから一日は始まっているのです。私の行った30日はサカナクションなどが出てて、お目当ては初めて見る岡崎体育とSuchmos。しょっぱなから岡崎体育のステージを見ていたが、彼の「ライブ=ナマモノ」という考え方にひたすら感動していた。この日のためだけに台詞を収録しているし、本当に芸が細かい。そういえばエビ中に提供した「サドンデス」では、彼は「8段変速できる曲」という発言をしていた。(=つまりサドンデスの結果が変わるということ)ライブ性、一回性の美学に感心しておりました。ヒィーヤ!

 


私立恵比寿中学 『サドンデス』ミュージックビデオ

 

そして、もうひとつのお楽しみ。Suchmosですが、もう色気がえげつなくて。近くにいたギャルがYONCEにキャーキャー言っていたのを目の当たりにして、タイミングさえ合えば弟子入りを志願したいところであります。

 

 

“もうgood night”は、積極的に使っていきたい所存。

 

 

 

年はあけまして、私のもうひとつの恒例行事、新日本プロレスの東京ドーム大会へ。去年のインパクトがすごくて(中邑vsAJなんてシビレまくりだった!)今年のカードにいささか物足りなさがあったけども、好きだったコーディ・ローズが出るとあってチケットをおさえて後楽園へ。

 

 

第0試合のランブルマッチにサプライズ登場してきたスコット・ノートンで早速テンション爆上がり。ゲームでめちゃくちゃ使ってたなあ。パワーボムも見れて満足太郎。

 

“俺のメイン”コーディ・ローズは相変わらずのハンサムで、じわじわと東京ドームを自分の空気にしていくさまにニヤニヤ。今後はどのような関わり方をしていくか楽しみ。

 

 

メインのオカダvsケニーのIWGP戦。45分の戦いは本当に素晴らしかった!最先端のプロレスに立ち会うことができた幸せ。ただ、興行が5時間もあって、ずっとアドレナリン出っぱなしなので、途中からちょっと叫び疲れてしまった。

 

書くこと好きなだけ書かせていただきましたが、本年も細々とやってやります。

誰かとファミレスに行きたい、生きたい。(『僕らのごはんは明日で待ってる』観たマン)

僕らのごはんは明日で待ってる』を観た。


Hey! Say! JUMP中島裕翔主演『僕らのごはんは明日で待ってる』予告編

 

おっさんが、若き日に完全に取り逃した系の正統派の青春ラブストーリー。黄昏がちな文学少年・葉山と、ズバズバと自分の意見をいう上村の高校〜社会人生活の恋愛模様をほのぼのと描いた作品。主演はHey!Say!JUMPの中島裕翔と、新木優子のご両人。この前の『太陽を掴め』の岸井ゆきのさんに続き、『ピンクとグレー』出演者が私の新年の映画ラインナップ。

 

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物語は高校時代の体育祭の場面からはじまる。そのうちの1シーンのあとに、タイトルが表示されるのだが、そのタイミングが美しい。あっという間に本作品の虜になった。

しかし、映像を見る限り制服姿の中島裕翔がモテないなんて、、と要らぬ不満。JKの頃の審美眼なんて所詮そんなものである。見た目が数学得意にしか見えないのがいけないのだろうか。

 

 

そして、ヒロイン役の新木優子さん。凛としたたたずまいに私のハートは真っ赤に染まる。すぐに彼女公式Instagramをフォローしたのはここだけの話。もっともっと横顔のシーンをくださいと願いながらも、上村という女性の哲学や、物語上ひとつのキーとなるひとつの事実に、胸が締め付けられていく。

 

少し脱線するが、現在公開予定の、“イケメンとかわいい女の子が2人だけの世界にハマって恋をする”系映画での「しかし、彼にはある秘密が…」の多さよ。秘密という言葉で便利にロマンティックな気持ちを与えるが、要は“プロット上の展開で…”である。騙されんなよお前たち!余命500年あっても恋人のことしっかり愛せよバカ!上映前の予告編であまりにも、この展開の作品が多すぎたので言っとこうと思ったまでだ。

 

話を戻そう。全体を通して、ケンタッキーでチキンを食べたり、ガストでハンバーグを食べたり、学生のデートとして、ごく日常的な場面が映し出されていく。ファーストフードやファミレスとはいえ、「食」という生きるための行動の中で、葉山と上村は互いの絆を深めていく。我々と遠くない情景描写で繰り広げられるドラマだからこそ、感情移入してしまうのだ。

 

僕らのごはんは明日で待ってる』を観たあと、まんまと誰かとご飯を食べに行きたくなった。産地直送の魚を使った海鮮丼や、平均★3.56以上のお店ではなく、ドリンクバーでおかわりできるような所で。肩肘張らずにお互いのことを少しずつ知って、徐々に親密さが増す数十分こそが幸せな時間なのだ。そういうことで、私は、お腹をすかせて貴方の返事を待っています。